秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
実はバンクシーにはあまり興味ないんですよ。正直好きな映画じゃない(笑)。でも現代アートについて、言いたいことが詰まってるんです。
覆面の路上アーティスト、バンクシーらの創作活動を趣味で撮影していた素人のティエリーが、バンクシーに言われて現代アートの展覧会を成功させてしまう過程を、バンクシー自身が監督したドキュメンタリーです。一言で説明すると、自分の頭で考えない人が踊らされる話、かな。
バンクシーが額装した落書きをこっそり美術館に飾ってもバレないシーン。美術館にあれば何でも美術品だと思うって興味深い。肝心の制作や準備は人に任せ、展覧会の宣伝に夢中になるティエリーがバンクシーの推薦文を大きく貼り出すと、メディアも人も会場に殺到する。有名人がいいと言えば実力のない人でも持ち上げられて、みんなだまされるんですよね。現代アート=わかりにくいのがかっこいいっていうのも不思議だな。
そんな問題提起を、美術館に見立てたお弁当箱で表現しました。野菜のように見慣れたものでもよく見れば素敵なアートだよという意味と、美術品だと思っているものもオクラの輪切りくらい何でもないものかもしれないよっていう意味と。見る人によって価値が決まるのが現代アートだと思うんです。自分の正直な感想は疑わなくていい。
この作品の題名?「オクラの値段はイクラ?」かな。僕は「一見さんお断りアート」じゃなくて、小学3年生くらいの子どもにもわかる作品を作りたい。裸の王様の話みたいに、子どもは正直だと思うから。
(聞き手・山田愛)
監督=バンクシー
製作=米・英
出演=ティエリー・グエッタ、スペース・インベーダー、バンクシーほか たなか・たつや
NHK朝ドラ「ひよっこ」のオープニング映像を担当。MINIATURE LIFE展を名古屋、山口、台湾で開催中。年内は長野などでも。 |