秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
映画って、カット割りや台詞(せりふ)が漫画に似てるんです。ジャンルを問わず1日1本見ています。この映画は友人に薦められて見ました。
1980年代に放送されたアメリカのテレビシリーズの映画版です。特殊部隊のメンバー4人で結成された「Aチーム」が、何者かの陰謀によって無実の罪で逮捕されます。でもリーダーのハンニバルが脱獄してメンバーと合流し、無罪の証明と自分たちを陥れた黒幕に迫っていきます。
懐かしさと痛快さが良いんです。逮捕されてから、もう暴力はやめたいとメンバーが葛藤する場面で「お前は何を信じて戦う?」と言うハンニバルの決め台詞。ものすごくクサい。でも恥ずかしげもなく言い切る。そういうところから古さが臭ってきます。敵と戦うアイデアもすごいんですよ。敵のトレーラーを襲撃する場面では、マンホールの中から強力な磁石で車の下にくっついて忍び込む。そう都合良くいかないのに、軽々とやってしまうんです。今は単純に痛快な映画は少ないと思うので、そういう軽さも懐かしいですね。
プロフェッショナルなシーンにもグッときます。乗っていた飛行機が米陸軍に撃墜され、機内の戦車に乗って脱出する場面では、湖に着水しようと細かく角度を指示して砲弾を放ち、その反動で戦車を軌道修正していきます。もう職人の域。
戦車が湖に落ちたとき、それを見ていたおばあちゃんが、にやっと笑うんです。想像をはるかに超えることが起こったら、人間って笑うしかないですよね。映画全体の桁外れな感じが、そのシーンに象徴されています。
聞き手・渋谷唯子
監督・共同脚本=ジョー・カーナハン
製作=米
出演=リーアム・ニーソン、ブラッドリー・クーパー、 ジェシカ・ビールほか くさか・りき
「週刊朝日」で「ヘルプマン!! 取材記」、ウェブコミック誌「ジヘン」で「レオの柩」、同「トム」で「すぐ死ぬんだから」を連載中。 |