秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
女優志望の若い女性が捨てた赤ん坊を、チャプリン扮する放浪者が拾って育てることになるの。小さな部屋での生活の場面が面白くて。ひもでつるしたやかんからミルクを飲むところとか、シーツをかぶって洋服になるところとか、絵本をめくるような面白さが随所にあります。絵本はやさしい言葉で書いている子どもから大人までのもの。この映画も無声映画で字幕の言葉が少ないし、小さな子どもでもわかる表情と動きで、伝わってくるものが大きいと思った。
そして5年後。5歳になった男の子との生活は貧しく、生活費稼ぎのための共同しての悪い仕事もユーモアがあり、血はつながっていないけど、本当の親子みたいになっている。昨年、カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞した「万引き家族」のように、深い愛情で結ばれている。血がつながっていない分、普遍的な愛情を感じて「みんなと手をつないで生きなきゃだめなんだ」という大きなメッセージが伝わってくる気がします。
絵は70年以上前、祖父と一緒に芝居小屋で初めてこの映画を見たところ。「いつも怖いおじいちゃんも笑うんだ」と驚いたの。チャプリンのファッションもすごくおしゃれ。ひげも一緒に動くから、いろんな表情が表せるのよね。音楽も素晴らしくて、音楽、せりふ、ファッションすべてが総合の芸術として、この映画を作ったんだなあと思った。モノクロの映画だけど色が見えてくる感じね。
聞き手・清水真穂実
監督・脚本・出演=チャールズ・チャプリン
製作=米
出演=ジャッキー・クーガン、エドナ・パービアンスほか ながの・ひでこ
著書に「おかあさんがおかあさんになった日」(童心社)ほか。4月上旬に「げんこつやまのたぬきさん」(のら書店)を刊行予定。 |