秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
角川映画が大好きです。派手に盛り上げて、夢を見させてくれるから。この映画は角川春樹の初監督作。力業で撮ってる感じが見ていて気持ちいいんです。
主人公は、どのチームにも属さない一匹おおかみのバイクレーサー北野晶夫。事故から復帰後、持ち前のルックスで落としたお金持ちの美女をスポンサーにつけて、レースを勝ち抜いていく。でも、満を持して挑んだ決勝最終レースの途中で、北野は転倒してしまう―。
初めて見たのは、公開翌年のテレビ放映時。締め切り間際だったのでビデオ録画したんです。VHSテープの尺が足りなくて、入れ替えるときに一瞬だけテレビをつけたら、転倒のシーン。「転んじゃう映画か」と思ってテレビを消して、また録画を続けた。仕事が落ち着いた後に改めてビデオを見てみたら、北野が起き上がってレースを続けていた! 「倒れる映画」ではなく「立ち上がる映画」だったと知ったときの衝撃たるや。
駆け寄るスタッフを手で制し、再びバイクにまたがりレースを続ける北野。コースを一人で走り抜けるシーンで、ローズマリー・バトラーが歌う主題歌が流れる。この曲がまたかっこよくて。
何日か徹夜しても物理的に絶対締め切りに間に合わないんじゃないか、っていうピンチの時、このシーンにどれだけ助けられたことか。主題歌が頭の中に流れ出して、心折れずに走れる。結局なんとかなるんです。映画の力ってすごいですね。
聞き手・安達麻里子
監督=角川春樹
脚本=丸山昇一
原作=大藪春彦 出演=草刈正雄、レベッカ・ホールデン、木の実ナナ、浅野温子ほか しまもと・かずひこ
「アオイホノオ」を「ゲッサン」(小学館)で連載中。「ヒーローカンパニー」(ヒーローズコミックス)第10巻が発売中。 |