秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
6歳の女の子ムーニーとシングルマザーのヘイリーは「隠れホームレス」。家がなく、フロリダのディズニーワールド近くの安モーテルに住んでいる。夢の世界近くの貧困社会を描いています。管理人のボビーは、彼らや同じ境遇の家族に時に厳しく、時に優しく接しています。
映画館で見ながら、この作品を絵に描きたいなって思ったんです。紫色のモーテルの壁の色など、現実感のない、鮮やかな色彩が鮮烈で。でも、ストーリーは現実に起きているリアルな内容。ドキュメンタリーっぽく見せながら、物語を明確に構成しているからこそ、伝わってくるものがあります。伏線も緻密(ちみつ)に張られていて、ショーン・ベイカー監督の作家性を強く感じますね。
ある事件を起こした後やラストで走る子どもたち、金策に悩んで決意をするヘイリー、ボビーと離れて暮らす息子の口論などの重要な場面で、正面からのアップやせりふではなく、背中の演技で伝えるカットが多いのが印象的でした。
ムーニーはとても愛らしく、楽しそう。ヘイリーは無職で、部外者からは「あんな暮らしをしてかわいそう」と見られるかもしれないけれど、そういう目線で撮っていないのもフェアだと思います。
こんな生活ずっとは続かないだろうという、現実っぽくない現実が展開された後に、それを更に超えるラストが用意されています。映画にする意味、映画を見る意味を感じさせてくれる作品です。
聞き手・下島智子
監督・共同脚本=ショーン・ベイカー
製作=米
出演=ブルックリン・キンバリー・プリンス、ウィレム・デフォーほか やべ・たろう
お笑いコンビ「カラテカ」のボケ担当。週刊新潮で「大家さんと僕」を連載中。同作で第22回手塚治虫文化賞短編賞を受賞。 |
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