「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
一言で言うと、壮大なブラックユーモアの塊みたいな映画に見えたんですよ。
荒廃した未来の地球で、ひとりぼっちでゴミを片付けるロボットのウォーリー。背景に700年前、人類がゴミでいっぱいになった地球を捨てて巨大な宇宙船で脱出したことがさらっと描かれている。ある日宇宙から地球の植物が再生しているかを調査しにイヴというロボットがやって来て、ウォーリーは恋心を抱く。少年と少女が出会って恋に落ちる、典型的なストーリーのロボット版です。
だけど僕は、描かれていない部分が気になってしまう。当時宇宙船に乗れなかった人たちは地球に残されてどうなったのか。お金持ちだけが助かったんだろうなって。ウォーリーがイヴを追って乗り込んだ宇宙船内で生き延びていた人類についても深読みしてしまう。移動も食事も機械に支配されたサービスを受けて楽しそうだけど、ぶくぶく太って転んだら自分の力で起き上がることもできない。この人たちの幸せってなんなんだろう、と。イラストは「ウォーリー」を映画館で見ている現代の人々を。今の社会も似たようなものかもしれませんよね。
可愛らしいロボットと、人類へのグロテスクな風刺で、子どもも大人も満足させるプロ意識にほれぼれする。善意か悪意か分からないラストには混乱もするけど、人間だっていい人か悪い人か分からない方が魅力的じゃないですか。僕の絵本もそう受け取ってもらえると一番うれしいんです。
聞き手・井上優子
監督・共同脚本=アンドリュー・スタントン
製作=米
声の出演=ベン・バート、エリッサ・ナイトほか ヨシタケさんを特集する絵本雑誌「MOE」12月号、新作絵本「それしか ないわけ ないでしょう」が発売中(いずれも白泉社)。
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ヨシタケシンスケさんの直筆イラスト入り色紙プレゼント!
ヨシタケシンスケさんが「私の描くグッとムービー」で語った映画「ウォーリー」をモチーフにイラストを描いた色紙を3人にプレゼント。
たくさんのご応募ありがとうございました。 |