秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
自閉症がある兄とその弟の交流を描いたロードムービーです。僕も、1983年に、脳性まひの少年を主人公にした絵本「あつおのぼうけん」を出しました。その後、自閉症の子どもを描こうとしたときに、この映画が公開されたんです。
ある日、トム・クルーズが演じる中古車ディーラーの弟に父親の訃報(ふほう)が届く。巨額の遺産は、ダスティン・ホフマンが演じる兄が相続することに。弟は兄を利用しようと施設から連れ出し、2人旅に出ますが、兄は度々パニックを起こす。
それでも弟は、いつしか兄への愛情が湧き上がっていく。兄は近くにいて欲しくないようなそぶりをしながら、弟と離れたくない。そんな兄弟愛が美しい。ダスティン・ホフマンは、ラスベガスで驚異的な記憶力によってカードゲームを勝ちまくる兄を面白く演じた。映画ならではのエンターテインメント性だね。
僕が今住んでいるのが、兵庫県・淡路島。島で取材してつくった絵本「ふしぎなともだち」の主人公は、大人に成長していく自閉症の少年です。完成まで何年も行き詰まっていた。でもこの映画のことを思い出さなかったのが不思議。ダスティン・ホフマンの演技力には感動したけども、兄が施設に戻り、弟と引き離されてしまう場面が腑(ふ)に落ちなかったからかな。僕の絵本は障がいがあっても、ともに育ち、生きる教育の大切さを描いています。自閉症の人も周囲の理解があれば、一緒に生きていけると信じているからね。
聞き手・石井広子
監督=バリー・レビンソン
原作・共同脚本=バリー・モロー
製作=米
出演=ダスティン・ホフマン、トム・クルーズほか
たじま・ゆきひこ
第1回絵本にっぽん賞受賞作「じごくのそうべえ」出版から今年で40年を迎える。9月3~15日、東京・神田の檜(ひのき)画廊で個展を開催。 |