秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
全く不思議、ではなく、少し不思議。現実の中にちょっとだけファンタジーがある。そういう世界にひかれるんです。
主人公は海洋ドキュメンタリー映画の売れっ子監督ズィスー。だけど今は落ち目で作品は鳴かず飛ばずの状態。しかも航海中に仲間が「ジャガーシャーク」という幻のサメに食べられてしまう。ズィスーはサメへのリベンジを誓い、仲間と船に乗り込み次回作を撮り始めます。その過程で色々なことが起きて……。
だけど僕が思うこの作品の魅力は、ストーリーよりも世界観です。色合いがとてもキレイだし、セットや小道具、コスチュームが本当に凝っていて、見ていて楽しくなります。特にズィスーが自分の船の構造を紹介するシーンはワクワクしましたね。本物の船のシーンから切り替わり、船内が分かるように半分に切られた巨大なセットの船が登場するんです。一部屋一部屋が丸見えで、そこを行き来する人の姿もあります。それから船の下には偵察カメラを背負ったイルカが泳いでいる。子どもっぽい発想だけど、それを大掛かりなセットで実現してしまうところに監督の情熱を感じました。現実と非現実が混在するのも面白かったです。
最後、みんなで潜水艦に乗ってジャガーシャークの元に向かうシーンは、この作品を象徴していると思いました。ファンタジーの世界に進んでいく。僕のイラストも、現実から離れるようなところがテーマにあるので。こういう世界観は好きですね。
聞き手・町田あさ美
監督・共同脚本=ウェス・アンダーソン
製作=米
出演=ビル・マーレイ、オーウェン・ウィルソンほか
雑誌、書籍、ウェブサイトなどのイラストを手がける。10月ごろに東京・原宿のギャラリー・ルモンドで展示会予定。
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