秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
1982年に公開された「ブレードランナー」の30年後を描いた続編です。2049年、人造人間の「レプリカント」が人間と共存する世界で、レプリカント専門の捜査官であるブレードランナーのKが、レプリカントの秘密を握る元ブレードランナーの男を捜す物語です。人間に到達するほどの人造人間を製造するテクノロジーや、整然と広がる合成農場。一巨大企業が作り上げ管理する社会がリアルで恐ろしい。ディストピア(反理想郷)的な未来を見せられました。
伝説的に語られる前作は、正直キッチュな「カルト映画」という印象でしたが、本作は細部まで作り込まれた画面にリアリティーがあり、かなり洗練されている。風車に戦いを挑むドン・キホーテのような滑稽さを帯びるかもしれませんが、巨額の費用で制作され「絵画化」した映画というエンターテインメントに、私たち芸術家はどう対峙(たいじ)するのか。突きつけられた気分になりました。
個人的に映画のヘソだと感じたのは、3Dホログラムの女性ジョイと娼婦(しょうふ)マリエッティが体を重ねシンクロする場面。ジョイが初めて肉体を得てKと向き合うシーンですが、2人を完全には同期させず、動きにズレを作っている。この重ならずはみだしている部分が肝で、それぞれの存在意義を表していると思うんです。実は現在制作中のイメージに通ずる部分があって。中央の目を共有し重なる二つの顔を、今回はジョイとマリエッティで描きました。
聞き手・安達麻里子
監督=ドゥニ・ビルヌーブ
製作=米
出演=ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマスほか
やまぐち・けいすけ
1962年生まれ。「瀬戸内国際芸術祭2013」で男木島に彫刻「歩く方舟(はこぶね)」を設置。来年6~8月、広島市現代美術館で個展を予定。 |