秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
加賀藩で代々藩の財務を担う「御算用者(ごさんようもの)」を務めた下級藩士の物語。もともと郷土史や幕末史が好きで、歴史学者の磯田道史さんが、発見した古文書を元に書いた原作本を読んだのがきっかけです。イラストを描く参考にもなるので、もう10回以上は見ています。
周囲からは「そろばんバカ」と呼ばれた猪山家8代当主の直之。ある日、家に多額の借金があることを知ります。当時、武士の多くが借金をしており、体面を重んじるが故にその額が膨らんで、という話が全国にあったようですね。直之は、体面など気にしている場合ではない、と家計簿をつけ、立て直しを図ります。
一家は借金返済のために家財を売り払うものの、返済額には到底及ばず。父の信之が、武士の命であるはずの刀まで手放そうとする場面には感動しました。「猪山家の武器は、そろばんと筆である」と。これも武士の姿なんですね。
後半、戊辰戦争で明治新政府軍の大村益次郎に抜擢(ばってき)された直之の息子・成之は、新政府の会計職に就きます。そろばんのおかげで、猪山家は武士の時代が終わっても生き残ることが出来たのです。
今年は明治維新から150年。勤め人は昔も今も、あまり変わらないように感じます。直之たちが同僚と互いの弁当を見比べたり、上司の悪事に気づいて悩んだりする姿は現代にも通じますよね。歴史的に有名でも、人々が憧れるかっこいい武士でもないのですが、そんな姿に親近感が湧いてきます。
聞き手・渡辺鮎美
監督=森田芳光
脚本=柏田道夫
原作=磯田道史
出演=堺雅人、仲間由紀恵、松坂慶子、草笛光子、中村雅俊ほか
やまだ・ぜんじどう
1983年生まれ。福岡を拠点に活動。インスタグラム(@y_haiku)等で浮世絵風の作品を発表し、昨年「山田全自動でござる」を刊行。 |