秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
暗い刑務所の監房が舞台。わいせつ幇助(ほうじょ)罪に問われたモリーナと、政治犯のバレンティン、男2人が同室に収容されていました。ウィリアム・ハート演じるモリーナはゲイ。好きな映画の話を、妖艶(ようえん)な身ぶり手ぶりで語って聞かせます。
コントラストのある2人が、一緒に過ごしていくうちにひかれ合っていく様が面白いです。劇中劇の映像が効果的に差し込まれてアクセントになっているので、一つの部屋の中だけで繰り広げられる話ですが、全然退屈じゃありません。
映画を見たのは小説を読んだのがきっかけ。食べることも大好きで、絵にしたのは特に気に入っている場面です。モリーナが刑務所の所長とのやりとりで手に入れた食べ物を、面会にきた母からもらったと偽って、バレンティンに振る舞うシーン。刑務所を舞台にした暗い話の中で、唯一楽しい食事のシーンには明るい色彩のようなものを感じます。墨で描いたモリーナはあえて顔を入れずに、横座りしている感じを表現してみました。
実は、2000年に「蜘蛛女のキス」の同じ場面を描いた作品があるんです。私は大学で日本画を学び、卒業後は特定の団体に属さず自由に活動してきました。昔は自分のスタイルを見つけられずに悩んだことも。そんな中、小磯良平展にその作品を初出展、初入賞したんです。この映画は私の創作の可能性を広げてくれた。今回映画を見直してみて、もがきながらも走っていた頃の自分を思い出しました。
聞き手・笹木菜々子
監督=ヘクトール・バベンコ
製作=ブラジル・米
出演=ウィリアム・ハート、ラウル・ジュリアほか くろだ・まり
和歌山・稱念寺(しょうねんじ)、京都・大覚寺の天井画制作に参加。大阪市西区のコウイチ・ファインアーツで今秋、個展を開催予定。 |