秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
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アメリカのある平和な海岸に人食いザメが現れて、唯一の観光資源になっている海水浴場を守るために警察署長や学者、「サメハンター」が立ち上がるというお話です。子供の頃、初めて友人同士で映画館に行って見た洋画なのでより印象深いんですが、私は恐怖のあまり、もう1回見ると言う友人たちを残して全速力で走って帰りました。足が震えてたのを覚えています。そんな怖い映画だったのに意外にも頭に残るのはキラキラしたにぎやかな海の町の風景なんです。
アミティ島は架空の島ですが、そこに生きる老若男女の日常が豊かに描かれ、町も海も広くリアルに感じられます。これは他のサメ映画にはないことなんですよ。この作品は単に「サメが襲う話」にならないよう、まず人をちゃんと描こうとしたんだと思う。だから人物に愛着がわくし、死んでほしくないからハラハラしますよね。ホラーやパニックものでは特に大事なことだと思っています。
そのメインキャラ3人を名優たちがとても魅力的に演じておられます。私が好きなのはサメ退治に向かう船の中の団欒(だんらん)シーン。三者三様のユーモアと壮絶な第2次世界大戦中の遭難話、その緩急に心底ゾッとします。実はここが一番怖い。
「CGが使えたらもっとサメを出したくなっただろう」と後にスピルバーグ監督が語られたそうですが、逆にサメの姿をなかなか見せないという演出の勝利でもありましたね。そしてあの音楽。大好きな一本です。
聞き手・井上優子
監督=スティーブン・スピルバーグ
製作=米
出演==ロイ・シャイダー、ロバート・ショ-、リチャード・ドレイファスほか たむら・ゆみ
代表作に「BASARA」。月刊フラワーズ(小学館)で「7SEEDS」、ココハナ(集英社)で「イロメン」を連載中。 |