秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
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舞台は現代のアメリカです。主人公の高校生グレッグは、親友の黒人少年アールを「仕事仲間」と呼んで、名作のパロディー映画を作っています。「テニスに死す」とか、靴下製の人形が登場する「木綿仕立てとオレンジ」とか、思わず笑ってしまいます。
グレッグは、自分を過小評価している男の子。学校を世界の縮図と捉えていて、どのグループとも深くは付き合いません。幼なじみのレイチェルが白血病になってしまい、母親に言われて渋々見舞いに通い出します。やがて彼女のために映画を作ることになる。なかなか自分から行動できないけど、やるとのめり込む。その様子が、思春期だと感じます。
コメディータッチで湿っぽくならず、どんどん引き込まれました。2人は次第に仲良くなりますが、べたな恋愛映画になるかと思うと「そうならないよ」と主人公の声でナレーションが入るんです。グレッグは素直に言葉を発しないから、裏を読んでいかないとわからない。社会に出る前は、わざとうそをついたり、ひねくれたりしても生きていける。それもひっくるめて青春なんだと思います。大人になると、そうはいかないですからね。
登場人物は個性的です。飄々(ひょうひょう)としたアール、クセのある歴史の先生、社会学者で変人のグレッグの父親。面白い人に囲まれてちょっといいな。イラストは、グレッグ、レイチェル、アールが階段でアイスを食べる所など、好きな場面を組み合わせました。
聞き手・小寺美保子
監督=アルフォンソ・ゴメス・レホン
製作=米
出演=トーマス・マン、オリビア・クック、RJ・サイラーほか ながば・ゆう
1976年生まれ。東京メトロのマナーポスターなど広告、書籍、雑誌などで活動。来年のカレンダー(翔泳社)が発売中。 |