秋山寛貴さん(お笑い芸人)
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
「マスク」(1994年) 何をやってもうまくいかない主人公・スタンリーがマスクをつけると、ハイテンションな超人に大変身し、アパートから外出するために大暴れする。
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この映画のテーマは父と息子です。エドワードは、うらやましいほど夢を持っているお父さん。奇想天外なホラ話を息子に語るのが大好きだった。若いころ、巨人と冒険し、たどり着いた町「スペクター」で運命の女性と出会ったとか。
でも一人息子でジャーナリストのウィルは、父を理解できず否定する。親子が仲たがいしたのはウィルの結婚披露宴。父はその席上で、息子が生まれた日、結婚指輪を餌にビッグ・フィッシュを釣ったという得意のホラ話で会場を沸かせたから。そこには自分への愛情に対する疑いや父が周りから愛されていることへの嫉妬もあったと思う。それから3年後、ウィルは病に倒れた父のもとへ帰る。
好きなのは父がパジャマのまま入浴している時に、母が入ってくるシーン。ハイヒールをコロンコロンと片方ずつ脱いで、死期迫る夫への悲しみを伝え、夫の全てを受け止める。そんな母親の深い愛情の中で育った息子だから、親子に戻っていけるのかな。やがてウィルはホラ話の中に含まれる真実に気づく。やっと理解し合えた時、父は「その通りだよ(Exactly)」と息子に語りかける。
ビッグ・フィッシュのホラ話は、父が仕事で息子の出生に立ち会えなかったという事実よりずっとすてき。それは人を幸せにするための愛だったんじゃないかな。幼い頃からの父への嫌悪感を克服し、ためてきた愛情があふれ出る。それで少年のウィルが、魚になった父を抱く姿を描きました。
聞き手・石井広子
監督=ティム・バートン
製作=米
出演=ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップほか ひらさわ・まりこ
5月21日~28日、東京・吉祥寺のギャラリーフェブで、新刊絵本「しろ」の出版を記念した銅版画の原画展を開催。5月25日休み。 |