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美博ノート

桜文鳥「リアルスケールヘッド(RSH)」

美少女の美術史(静岡県立美術館)

 


美博ノート
©桜文鳥/TOLIBRAIN

 

   誰かのためにではなく、自らがほしいものを作るフィギュア原形師、桜文鳥。等身大頭部のこの作品は、どこにでもいそうな9歳の女の子をイメージしたという。「可愛らしさと子どもらしさを失わないようにして、自然な表情を表現することを重視しました」(桜さんのホームページから)。

 既製品を使わず目や歯などすべてのパーツを手作りし、展示会場で、くしとはさみでウイッグ(かつら)の前髪を整えた。頭部の位置を9歳の女の子の平均的な身長の高さに展示し、よりリアルな表現に結びつけた。

 「デフォルメされたドールやフィギュアが多いなか、可愛いという価値を超えて無垢(むく)さや無邪気さ、無防備さなど少女が少女である意味を問いかける作品です」と学芸員の村上敬さん。

(2014年10月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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