象限儀
全国測量の旅で伊能忠敬も愛用。正確な地図作りに欠かせない道具
山から削り出したような大きな岩。ゴツゴツとした手触りや重みが感じられるが、実はやきもので、中は空洞だ。鉄などが素材の重量級作品が並ぶ「ハードロック/ヘヴィメタル」のコーナーで紹介されている。
作者の杉浦康益(1949~)は、石や岩から取った型で陶土を成形する立体のシリーズを展開。同じ型から作った複数の「岩」を自然の中に配置するインスタレーションも発表してきた。本作も通常は愛知県陶磁美術館(2025年まで休館中)の池に常設展示されている。
展示室に並ぶ五つの「岩」は大きさや形、表面の凸凹まで全く同じ。「自然界には、全く同じものはない。同じ見た目の『岩』がコピーのように並ぶ光景には違和感があり、本作の存在感をより強く受け止めさせる」と、愛知県美術館学芸員の中野悠さんは解説する。
※会期は4月14日まで。