新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
ニコラ・ド・スタール 1950年
油彩・カンバス 35.0×27.0センチ
メナード美術館蔵
絵の具を厚く盛り上げ、立体的な表情を見せる本作の作者はロシア出身のニコラ・ド・スタール(1914~55)。ロシア革命後に亡命、フランスを拠点に活動した。今展ではメナード美術館コレクションから初公開の本作を含め全4点を展示する。
スタールの象徴といえる灰色を基調に、青や緑などのニュアンスが加わる。「絵の具を厚塗りした絵肌や繊細な色使いに、この時期の魅力がよく表れている」と学芸員の村石桃子さん。豊かな絵肌の表現は、キュービスム創始者のひとりで、絵の具に砂を混ぜて描いたジョルジュ・ブラックとの出会いも影響しているという。
その後は四角形の集合でサッカー選手を表現した連作、静物や風景を題材にした具象に取り組んだ。「一枚の絵が同時に抽象でも具象でもありうる」と語ったように、具象にも抽象にも定められない表現を追求していった。