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美博ノート

釉下彩銀杏文(ゆうかさいいちょうもん)ポット

西浦焼 電燈所 た禰コレクションを中心に(多治見市美濃焼ミュージアム)

釉下彩銀杏文ポット 19~20世紀 器高26センチ、口径8.8センチ、胴径13センチ
釉下彩銀杏文ポット 19~20世紀 器高26センチ、口径8.8センチ、胴径13センチ

 西浦焼の代表的な表現技法である「釉下彩」は、透明な釉薬の下に模様を施す。型紙の上からスプレーなどで絵の具を吹き付け、色の数だけ繰り返す。筆だけで描くのとは異なるおぼろげで柔らかな雰囲気が特徴だ。

 ロイヤルコペンハーゲンなど欧米の陶磁器メーカーが研究を重ねて開発。5代目西浦圓治(1856~1914)のころ、欧米の万博に視察員を送るなどして採り入れた。

 5代目当時の制作と思われる本作は、持ち手の意匠や流線形の本体、植物がモチーフとなっている点などがアールヌーボー様式を反映しているという。世界の流行がジャポニスムからアールヌーボーへと移り変わる流れも、5代目圓治は敏感にとらえていた。

 学芸員の岩城鮎美さんは「身近なイチョウの葉をモチーフにした点や大胆な構図が日本的。アールヌーボーと融合させたのがおもしろい」と話す。和洋が影響しあう時代の中で西浦焼は発展した。

(2021年6月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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