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美博ノート

「円覚寺舎利殿(えんがくじしゃりでん)組物原寸模型」

木組(きぐみ) 分解してみました(トヨタ産業技術記念館)

「円覚寺舎利殿(えんがくじしゃりでん)組物原寸模型」

 約1300年前の木造建築が残る日本。長持ちの秘訣(ひけつ)は、破損しても分解して修理できるよう、構造の要に釘を使わないことだ。社寺建築の軒下には、立方体状の「斗(ます)」と角材の「肘木(ひじき)」を組み合わせた「組物(くみもの)」が見られ、屋根の荷重を柱に伝えている。

 本模型は、鎌倉・円覚寺舎利殿の組物を原寸大で再現。部材は66点におよぶ=写真。中国伝来の様式「禅宗様(ぜんしゅうよう)」で、斜め材「尾垂木(おだるき)」が前面に伸びている。雨が多い日本の建物は軒が深く、屋根に急な勾配をつけて水はけを良くする必要があり、屋根の重さを担う「桔木(はねぎ)」が発展。結果、荷重が軽減された組物は装飾的な要素を強めた。

 トヨタ産業技術記念館の学芸企画グループ・田中雄一さんは「傷んだところを直して長く使う、その心が我々の自動車産業とも通じる」と話す。

(2020年2月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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