新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
約1300年前の木造建築が残る日本。長持ちの秘訣(ひけつ)は、破損しても分解して修理できるよう、構造の要に釘を使わないことだ。社寺建築の軒下には、立方体状の「斗(ます)」と角材の「肘木(ひじき)」を組み合わせた「組物(くみもの)」が見られ、屋根の荷重を柱に伝えている。
本模型は、鎌倉・円覚寺舎利殿の組物を原寸大で再現。部材は66点におよぶ=写真。中国伝来の様式「禅宗様(ぜんしゅうよう)」で、斜め材「尾垂木(おだるき)」が前面に伸びている。雨が多い日本の建物は軒が深く、屋根に急な勾配をつけて水はけを良くする必要があり、屋根の重さを担う「桔木(はねぎ)」が発展。結果、荷重が軽減された組物は装飾的な要素を強めた。
トヨタ産業技術記念館の学芸企画グループ・田中雄一さんは「傷んだところを直して長く使う、その心が我々の自動車産業とも通じる」と話す。