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美博ノート

「家族のリズム」

マコンデ彫刻の愛と性展(マコンデ美術館)

「家族のリズム」

 わき出る「生」や「性」のイメージをおおらかに表現していた東アフリカ・マコンデの人々。しかし、1980年代以降は大胆な性表現がほとんど見られなくなったそうだ。「輸出資源でもあったため、表現を控えるようにタンザニア政府から要請が出されたようです」と水野恒男館長は話す。

 1970年代にソンゲア・ゴスウェにより制作されたこの作品には、まだ自由な表現が見られる。男性から流れ出た、子どものような表情を持つ「卵」を、女性が手をのばして受け止めている。女性の上唇にはめられたリングは、現在は見られないかつての風習。多産の女性を表している。「我々にはなかなか考えつかない斬新な表現ですよね」と水野館長。「生き物すべてに通じる営み、自分たちや祖先の誕生の始まりを表すことで、子孫繁栄を祈願する意味があったのだと思います」

(2019年3月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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