新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
仏のガラス工芸家、ルネ・ラリック(1860~1945)が、香水瓶を手がけるようになった初期の代表作が12年の「シダ」。瓶本体は、鋳型にガラスを吹き込んで成型し、表面には、「パチネ」と呼ばれる着色が施されている。また、緑のガラスを用いたふたと肖像は、プレス機で形作られている。
肖像に描かれているのは、妻のアリス。09年に亡くなった妻をしのんだのだろう。周りを囲む植物シダは、仏でガラスの材料に使われていたといわれ、ガラスの象徴ともいえる。そのシダが、今にもアリスを覆い隠そうとしている。
ラリックは、本作の制作を境にジュエリーからガラス工芸に専念する。「移行期のシンボル的な作品ですね」と学芸員の田中竜也さん。