読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

「もこ もこもこ」

元永定正展(清須市はるひ美術館)

1977年、アクリル・厚紙、モトナガ資料研究室蔵
1977年、アクリル・厚紙、モトナガ資料研究室蔵

 絵本「もこ もこもこ」(文・谷川俊太郎)の絵を手がけた画家・元永定正(1922~2011)。明るい色とユーモラスな抽象画が特徴だ。本展では絵本原画や版画など、約120点を四つの章で紹介する。

 本作は、「もこ もこもこ」の中の1枚。左の切れ込みのある物体が、串団子をぱくっと食べるようにも見える。「にょき」「ぱく」といった状態や動作を表すオノマトペ(擬態語・擬音語)を多用し、従来にはない抽象画の絵本を生み出した。

 詩人の谷川とは、66年、米留学中のニューヨークで出会い、意気投合した。帰国後に絵本の話が出て、元永の絵と谷川の言葉が自然に合わさったという。

 同館学芸員の藤本奈七さんは「読み聞かせのときに、いかにおもしろく読むかが肝になる絵本です」と話す。

(2018年8月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

新着コラム