新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
堀尾実(1910~73)は、日本画による抽象絵画を追求した画家。20世紀初めのフランスで起こった美術運動のキュービスムに影響を受けた。
この作品は、55年に仲間と共に立ち上げた前衛的な日本画のグループ「匹亜会」で、活発に制作していた時期に描いた。「日本画の顔料特有の、つやのない落ち着いた黒色に、浮遊感のある、西洋的な曲線のオブジェ。それらが織りなす静と動が魅力的です」と、かわら美術館学芸員の今泉岳大さん。
斧(おの)の持つ冷たさと、藍色が醸し出すぬくもりが同居した不思議な絵だ。まるで暗い森の中で斧がくつろいで遊んでいるように見えて、心が和んだ。