新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
|
1944年 紙本着色 軸装 |
国土の大半を山地が占める日本列島――。山は常に日本人の生活の中にあり、多くの文学や芸術を生み出す原動力となってきた。今展では、山に魅せられた21人の画家が思い思いに描いた山の姿を紹介する。
琥珀(こはく)色にかすんだ空に、冠雪した山頂をのぞかせる富士の山。横山大観(1868~1958)の作品だ。
山頂のくっきりとした描線に比べ、裾野部分は輪郭をぼかして、高い標高と、雲海の上にそびえる雄大な山容を表現している。色彩の濃淡によって空気や光を表す技法「朦朧(もうろう)体」を使って、神々しさをも感じさせるのだ。
「富士を描くことは自分の心を描くこと。理想をもって描かなければならぬ」と語り、生涯に1500点以上の富士山を描いた大観。本作は、大観のどんな「理想」を映しているのだろうか。