新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
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ヨハネ・パウロ2世美術館蔵 |
こちらをじっと見つめるのは十字架を背負い、ゴルゴタの丘をのぼるキリスト。右側には柔らかな光に照らされて、キリストの汗を拭う聖人の姿が描かれる。作者はバロック絵画の巨匠ルーベンスだ。
16世紀末から始まり、ヨーロッパ全体に流行したバロック絵画。それまでの静謐(せいひつ)な絵画様式とは異なる、人物のダイナミックな動きや、光と影による劇的な演出が特徴だ。王侯貴族や教会から多くの注文を受けるなど、人気を集めた。
ルーベンスはその潮流の中で最も成功した画家の一人だ。イタリアなどの宮廷画家を務める一方、語学や教養があったため外交官も務めた。各国の画家とも交流し、スペインのベラスケスにも影響を与えたという。