新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
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清水三年坂美術館蔵 |
本物のタケノコと梅にしか見えないが、実は象牙の彫刻。象牙は江戸時代には根付けやきせる筒など生活道具の材料に用いられ、明治時代になると輸出用に象牙の彫刻「牙彫(げちょう)」が作られるようになった。
全長37センチのタケノコは象牙の形を生かした造形。根っこは収穫したてのタケノコ特有のピンク色に染まっている。皮の縁の毛羽だった部分や梅の葉の虫食いなど、刻々と変化するものの一瞬を鮮明に写しとる技術は、まさに超絶技巧といえる。
白い象牙本来の色を生かすものが多いなか、安藤緑山はこのような細かな彫刻と彩色を施し、野菜や果物、植物などを実物と見まごうほど精密に再現した。だが残念なことに、この彩色方法は受け継がれず、一代で途絶えたと言われている。