新訂万国全図 東半球・西半球(写)
日本が中央に。江戸の最先端世界地図。
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1976年 © Hiroshi Sugimoto / Courtesy Gallery Koyanagi |
息絶えた動物に群がるハゲタカと近づくジャッカル。背後にはライオンが遠巻きに様子をうかがう。そこに写るのは、我々が「イメージする」生態系だ。
これらは写真家の杉本博司がニューヨークの自然史博物館でジオラマを撮影したシリーズの一つ。動物は剝製(はくせい)、木や草は模型、背景は描かれたものだ。
巧みなトリミングやライティング、ピントの合わせ方など、アナログな撮影技術を駆使して臨場感ある写真に仕立て上げた。色彩を排除し、本物らしさに磨きがかかる。
「写真の迫真性は、虚偽も真実にみせてしまう。その力への賛美と皮肉の両面が感じられる」と学芸員の保崎裕徳さんは言う。