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タブレット純の「昭和歌謡に恋した私」

歌声喫茶から生まれ、時代を象徴した大ヒット曲「北上夜曲」

 ムード歌謡とロシア民謡は、まったく異なる性格のものですが、僕は両方好きでした。実際にどちらもブームで栄えていました。

 ロシア民謡ではないけど、マヒナスターズの「北上夜曲」という曲があって。実はダークダックスも歌っていて、全く同時代だから競作しているんです。マヒナスターズとダークダックスという両極端なグループが同じ曲を歌っていることが、時代を象徴している気がします。

 歌声喫茶から生まれた大ヒット曲なんです。歌声喫茶だけでなくナイトクラブでも両方で歌われたみたい。キャバレーと呼ばれるものの原型がナイトクラブ、ダンスホールですかね。昭和45年ごろからはやりだした。お客さんが歌うのではなく、ボーカルが入った生バンドの演奏で踊って、男女が口説きあう場みたいな。

 自分のように昔にさかのぼってムード歌謡やロシア民謡を聞いてる人ってあまり会ったことないです。僕が、自分が生まれる前のブームだったものを自然に好きになっていたというのは本当に不思議で、前世がその時代だったんじゃないかって思えちゃうくらいなんです。

(聞き手 大野紗弥佳)

 

memo

・玉置宏……司会者、元文化放送アナウンサー。TBS系「ロッテ歌のアルバム」の司会(1958~79年)を担当した。
・和田弘とマヒナスターズ……スチールギター奏者の和田弘をリーダーとして1954年に結成されたグループ。ムード歌謡の第一人者。後にタブレット純が「田渕純」の芸名で在籍した。
・「ザ・ベストテン」……TBS系の歌番組。黒柳徹子と久米宏が司会を務めた。1978~89年放送。
・水原弘……歌手、俳優。代表曲「黒い花びら」「君こそわが命」ほか。
・ダークダックス……1951年に結成された男声コーラスグループ。ジャズ、ポップス、ロシア民謡など幅広いジャンルを歌い、コーラスブームを起こした。
・歌声喫茶「ともしび」……東京・新宿にある歌声喫茶。1954年に誕生し、昭和30年代に流行した歌声喫茶の草分け的存在「灯」を前身に持つ。

 

たぶれっと・じゅん
 歌手、芸人。1974(昭和49)年8月31日、3人きょうだいの末っ子として相模原市に生まれる。小学生の頃、台所で母が聞いていたAMラジオをきっかけに昭和歌謡に深く親しむ。高校卒業後は古書店や介護職、歌声喫茶の勤務を経て27歳の時に「和田弘とマヒナスターズ」に加入する。解散後はソロとなり、「ムード歌謡芸人」としてライブや漫談、ラジオパーソナリティーなどで活躍中。

 

プレゼント

タブレット純のポスター

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(2018年11月15日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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