ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
日本画も科学も歴史もひとくくり
地元出身の画家・菱田春草の作品、化石や動植物の標本、地域の歴史を伝える古文書。多様な資料を収蔵し、プラネタリウムも備える長野県南部の飯田市美術博物館。2008年の20周年を機に、ロゴマークを公募した。
海外を含め全国から予想以上の応募があったが、「どれかの分野に特化した作品が多く、館の全体像を表現する難しさを感じた」と学芸員の織田顕行(あきゆき)さんは振り返る。
その中で選ばれた、デザイナー・細尾正行さんの作品は、建築家・原広司さんが設計した建物をモチーフとしたもの。南アルプスをイメージしてノコギリの歯状に突起した屋根に着目、三つ並んだ図形はアルファベットの館名の頭文字でもある。
館が関わる多岐にわたる分野を1色では伝えきれない、と色選びに悩み、グレー、水色、ベージュを採用。無機質でニュートラルな色合いを意識したという。
「マークのおかげで館の統一感ができた」と織田さん。細尾さんも「バラバラだったものの中心をマークが担えたならうれしい」と話す。
◆飯田市美術博物館 長野県飯田市追手町2の655の7(問い合わせは0265・22・8118)。午前9時半~午後5時(入館は30分前まで)。原則(月)、(祝)翌日休み。1月31日まで臨時休館。