ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
まっすぐにひた走る「鉄人」の魂
日本鉄道発祥の地、横浜にある原鉄道模型博物館。鉄道愛好家・原信太郎(1919~2014)のコレクション約6千点のうち常時約1千点を展示する。館の主役は総面積約310平方メートルのジオラマだ。パンタグラフを上下させ、ガタンゴトンと本物さながらの音をたてて走る列車を、来場者は時を忘れたように見入っていた。
2012年の開館時にロゴデザインを手がけたACデザインの赤瀬公男さん(63)は「撮り鉄や乗り鉄、あらゆる『鉄分』を持った人でした」と原の「鉄人」ぶりを振り返る。少年時代の原が初めて作った模型「1号機関車」を、「これこそ信太郎さんの原点であり魂にほかならない」とモチーフに提案。細部まで本物にこだわったオリジナル模型の白っぽい車体を緻密(ちみつ)な線画で表現。一心不乱な鉄道愛をイメージして日本語の館名は直線だけの文字で構成した。
世界各地の鉄道の知識を得るため、独学で数カ国語を習得した逸話も残る鉄人。大事な模型は実の息子たちにもめったに触らせなかったという。
◆原鉄道模型博物館 横浜市西区高島1の1の2の2階(問い合わせは045・640・6699)。[前]10時~[後]5時(入館は30分前まで)。[火][水]([祝]の場合は翌平日)、年末年始、2月上旬休み。予約制。