ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
手書きから生み出した独自の字体
古くからアジアに向けての窓口だった福岡に1999年に開館した福岡アジア美術館。アジア近現代美術を系統的に収集・展示する世界唯一の美術館とうたう。
ロゴマークをデザインしたのは、福岡県在住のデザイナー・栗田卓哉さん(61)。山のようにも動物の顔のようにも見えるマークは、焼きものなどによく描かれる唐草文様がモチーフだ。
陶芸が趣味だった栗田さんは以前から唐草文様に興味があった。西アジアからもたらされたという唐草を横に寝かせたアジアの「A」と組み合わせ、どこまでも伸びる生命力からおめでたいとされる文様に、美術館発展の願いを込めた。左右の「羽」は雲をイメージ、軽やかに見えるデザインを実現した。
栗田さんが最も苦心したのは、じつは文字部分だった。既存フォントにない、親しみの持てるオリジナルの字体を作りたいと考えた。デジタルツールをあえて使わず、まずは手書きで作成。ラインやバランスを繰り返し調整した苦心の文字列だ。
◆福岡アジア美術館 福岡市博多区下川端町3の1、リバレインセンタービル7・8階(問い合わせは092・263・1100)。企画・アジア・交流ギャラリーは午前9時半~午後6時(金曜、土曜は8時まで、入室は30分前まで)。水曜(祝日の場合は翌平日)、12月26日~1月1日休み。