ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
文化の多面体 次に進む方向は
巨大な岩石のような外観の角川武蔵野ミュージアム。出版などを手掛けるKADOKAWAがポップカルチャーの発信拠点として昨年グランドオープンした「ところざわサクラタウン」の中核施設だ。
黒一色の力強いシンボルマークを手掛けたのはアートディレクターの柿木原(かきのきはら)政広さん。建築家の隈研吾さんがデザインを監修した建物と呼応する「多面体」を軸に考えた。
黒い三角形が表すのは、ミュージアムが持つ図書館、博物館、美術館の三つの機能。「次に進む角度」をイメージして右上を向いている。この三角形の頂点と外枠の角を線で結ぶと、新しい面が次々と見えてくる。
「今の時代の在り方とともに、KADOKAWAの理念から感じた多様性を表現した」と柿木原さんは話す。
館内表示も柿木原さんがデザインした。ライトノベルや漫画を意識したコマ割りを取り入れ、トイレのデジタル案内板は動くピクトグラムが足をムズムズ。ユーモラスな表現を交え、来館者を楽しませている。
◆角川武蔵野ミュージアム 埼玉県所沢市東所沢和田3の31の3(問い合わせは0570・017・396)。午前10時~午後6時(金土は9時まで、入館は30分前まで)。第1、第3、第5火(祝の場合は翌平日)休み。