ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
謎めいた形 答えは二つの展示室
スーパー「ヤオコー」(本社・埼玉県川越市)が2012年に開いたヤオコー川越美術館は、現ときがわ町に住んだ洋画家・三栖右嗣の作品を所蔵・展示する。
デザイナーの広村正彰さんが手がけたロゴマークは、意味を尋ねる来館者も多い。不思議な形は伊東豊雄さんが設計した二つの展示室の断面図をヒントにした。
左側は、天井が中央へ向かって富士山のようにせり上がり、頂上が天窓になった展示室。右側は天井から床へ、じょうごのようにカーブした展示室。内面的なモチーフが多い三栖の作品から発想したエネルギーの集中と発散が表現されている。
「模型を見たり、伊東さんの説明を受けたりして一番特徴的なところを形にさせてもらった」と広村さん。「地元で愛されるスーパー」の印象を美術館にも、とヤオコーのロゴにも使われるオレンジ色に。
「スーパーのように、気軽に足を運んでいただけるような美術館を目指しています」と館員の渡辺さく子さんは話す。入館料を抑え、無料コンサートなども開催している。
◆ヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館) 埼玉県川越市氷川町109の1(問い合わせは049・223・9511)。午前10時~午後5時(入館は30分前まで)。(月)((祝)の場合は翌平日)、年末年始休み。