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渋沢史料館

渋沢史料館

栄一の洋館を飾った柏の葉

 その生涯を描く大河ドラマもいよいよ佳境の渋沢栄一(1840~1931)。資・史料数万点を収蔵する渋沢史料館は旧邸跡に1982年に開館した。大正期に建てられ、いずれも国指定の重要文化財の「晩香廬」と「青淵文庫」、98年に増設された本館で構成されている。

 開館当初、学芸員だった現館長の井上潤さん(61)は、ほぼ1人で様々な仕事をこなした。自らポスターやパネルに使う写真を撮影、展示ケースや展示台作りもDIY店で材料を買ってきて工夫した。

 そんな中、特別展の図録の裏表紙に何かマークをと思い立った。渋沢家の家紋「丸に違い柏」をモチーフに前任者が考えた素案はあったが、さらに洗練するには……。

 ヒントは栄一の書庫、接客の場として使われた洋館「青淵文庫」にあった。内外を飾るタイルやステンドグラスは柏の葉がデザインされていた。タイルの模様をなぞり、スクリーントーンを切り抜いたものを原稿にはり付けた。

 「当時は財政的にも余裕が無くて。まるで雑芸員でしたが、いい思い出」。井上さんは若き日の奮闘を懐かしんだ。

 ◆渋沢史料館 東京都北区西ケ原2の16の1(☎03・3910・0005)。午前10時~正午、午後1時半~3時半(ネット予約制)。300円、小中高生100円。月(祝日の場合は翌日)、祝日の翌日休み。

(2021年10月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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