ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
重厚イメージ あえてなぞらず
弘前れんが倉庫美術館は明治・大正期に建てられ、酒造工場や倉庫として使われた建物を生かし、2020年に現代美術館としてオープンした。
建築家・田根剛さんのデザインで改修された建物は、切り妻屋根の重厚なれんが造り。町のシンボルとして根付いた歴史を感じさせる。「これをそのままロゴにするのはちょっと違うな」と、デザインを担当した服部一成さんは感じた。
インパクトの強い建物のイメージからは離れて、現代美術の新拠点としての活動にふさわしい表現は……考えた末、「重さより軽さ」「質感は無機質」を心がけた。
文字の上を、屋根のように覆うのは、弘前の頭文字「H」。館名を英語や略称で表記すると文字部分の長さが変わるが、「H」の横棒を伸縮させれば一貫したイメージを保てる。日英それぞれ改行したり、文字を階段状に配置したりしたものも作った。「作るときの考え方に新しさを吹き込みたかった」というロゴは日本グラフィックデザイン協会などの賞を受けている。
◆弘前れんが倉庫美術館 青森県弘前市吉野町2の1(問い合わせは0172・32・8950)。午前9時~午後5時。(火)((祝)の場合は翌日)、年末年始休み。