ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
名前の読みはタテ、ヨコどちら?
「実は名前の読み方も知らなかったんです」と明かすのは、デザイナー・山田明さん。
仏教彫刻や肖像彫刻を手がけた平櫛田中(1872~1979)の名を初めて目にした時、「ヒラ」「クシダ」「タナカ」など、様々な読みが頭を駆け巡ったという。そんな「出会い」を出発点に面白いものができそうだと2010年、小平市平櫛田中彫刻美術館のロゴマーク公募に応募した。
平櫛の名前を大きく強調、縦書きか横書きか迷うような配置で、「見た時に一瞬考えることで頭の片隅にとどまる、そんなロゴをめざした」と話す。
モチーフは六代目尾上菊五郎をモデルとした「鏡獅子」の隈取り。「近代彫刻の最高峰」ともいわれる平櫛の代表作だ。力強い隈取りにはあえて目を描き入れず、見る人が想像する余地を残した。
玉川上水沿いにある同館は、平櫛が107歳で亡くなるまで約10年間を過ごした自宅。
前庭には今も、平櫛が制作に使うはずだったクスノキの原木が置いてある。彫刻材とするまでに20年乾燥させる必要がある原木を購入したのは、100歳の時だった。
◆小平市平櫛田中彫刻美術館 東京都小平市学園西町1の7の5(問い合わせは042・341・0098)。午前10時~午後4時(入館は30分前まで)。(火)((祝)(休)の場合は翌平日)、年末年始休み。