ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
水面に映る木立をヒントに
三つ並んだ地図記号のようでもあり、時空を超えたメッセージのようにも見える。この春新築オープンした長野県立美術館は長野市の善光寺そば、城山公園の一角にある。旧長野県信濃美術館から、自然や歴史的景観と調和する「ランドスケープ・ミュージアム」として生まれ変わりロゴも一新した。
デザインを担当したのは、デザイナーの宮崎桂さん。「長野の湖や沼の景色には、木立が水面に映る風景が必ずある」と、館の略称となるアルファベット「NAM」が水面に映った場面をイメージした。上下反転の文字をピタリとつなげることで「新しい形」を生み出したのだ。
館のコレクションの柱は、世界最多の収蔵数があり、併設の「東山魁夷館」で展示する東山魁夷の作品。その代表作から青でも緑でもない中間色をシンボルカラーに選び、形も色も「なんだろう?」と思わせるよう意識したという。宮崎さんは「大切にしているのは造形の新鮮さ。50年先になっても、建築とともにある未来を考えています」と話す。
◆長野県立美術館 長野市箱清水1の4の4(問い合わせは026・232・0052)。午前9時~午後5時(入館は30分前まで)。原則(水)休み。