ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
シンプル富士山 視点を変えると…
丸を二つ描きまして、棒を2本足しました――。そんな絵描き歌で描けそうなシンプルな図形なのに、「静岡」の文字があるせいか、すぐに富士山が連想される。
今年10周年を迎えた静岡市美術館は静岡駅前に立地する。誰もが気軽に立ち寄れるアートの交流・発信拠点にという館の願いを、アートディレクターの柿木原政広さん(50)が表現。地域や美術館、世界を表す円を、重ねてみせた。
円を重ねたのは、視覚的な狙いもある。「斜め上からとらえた富士山に見えるけれど、視点を変えると下からのぞき込んだコップのようにも見えます」と柿木原さん。「同じものでも見る側の意識で見え方が変わることを提案したかった」とその意図を話す。図形のマークに合わせたロゴタイプのアルファベットも、平面と立体の二つの視点を意識してデザインしたという。
教科書に書かれるような「正解」を探しがちな美術作品の鑑賞も、今度は自由な見方で楽しんでみよう。そんなことも思わせてくれるロゴだ。
◆静岡市美術館 静岡市葵区紺屋町17の1、葵タワー3階(問い合わせは054・273・1515)。午前10時~午後7時(展示室への入場は30分前まで)。(月)((祝)の場合は翌日)、年末年始休み。