ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
裾野広げる好奇心の入り口
東京近郊にありながら豊かな生態系を誇り、仏ミシュランの「三つ星観光地」にも認定されている高尾山。多くの人にその魅力を伝える発信基地として、博物館機能を持つ観光施設が2015年にオープンした。
599は山頂の標高。ロゴ制作も含めた総合ディレクションを担当した大黒(だいこく)大悟さん(41)は「山としては低いところも高尾山らしさ」とこの数字を前面に出した。「ごーきゅーきゅー」の響きの良さも重視したという。
上部の三角形で登山者数世界一ともいわれる山の存在感を表現。三角形だけでも同館のモチーフとわかるよう、裾野をイメージした角度にもこだわりがある。キーカラーの紺色は青みがかった朝の森から着想を得た。
大黒さんがデザイン、展示物、コミュニケーション方法の全てで大切にしたのはユーモアだ。「自然のうごめき」を表そうとオリジナルフォントを制作するなど細部までこだわり、人や動植物が動くユニークなピクトグラムも開発。来山者の好奇心の入り口となることを願っている。
◆高尾599ミュージアム 東京都八王子市高尾町2435の3(問い合わせは042・665・6688)。午前8時~午後5時(12月~3月は4時まで)。無休(10月8日、12月10日、2021年3月4日は休館)。