ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
紫煙くゆらすマヤ文明の神
一体何者? かつての専売2品目の歴史と文化をテーマにした「たばこと塩の博物館」のロゴにつくマークだ。
学芸部長の鎮目良文さんによると「彼」はマヤ文明の神。マヤ文明の研究に不可欠な資料の一つである「マドリード絵文書」の喫煙図を参考にしている。このほかにも、神と思われる姿がたばこのようなものを口にする図柄が描かれた資料があり、同館もレリーフの複製を展示している。
デザインしたのは、かつて市場を席巻した「マイルドセブン」のパッケージなども担当した田中晋さん。たばこを象徴するモチーフとして、たばこ文化の原点に立ち返ってマヤの神を選んだという。資料に忠実にイラスト化しつつ、小さくても線がつぶれないよう整えた。人物の下部は波。塩が生まれる海をモチーフにした。
マークを制作した1978年は、シンプルなデザインのコーポレートマークが日本で流行し始めた時代。田中さんは「複雑なものを扱って、あえて時代に逆行したんです」と語る。
◆たばこと塩の博物館 東京都墨田区横川1の16の3(問い合わせは03・3622・8801)。当面の間午前11時~午後5時(入館は30分前まで)。原則月曜日(祝休日の場合は翌日)休み。