ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
「見る」ことの意義、伝える
「ミルちゃん」。スタッフの間でそう呼ばれている。目を主とした人の形で、「見る」ことを表す。考案したのは、初代館長も務めたグラフィックデザイナーの故・粟津潔さん。古代中国の青銅器に鋳込まれた「見」の象形文字をもとにデザインした。なぜ「見る」だったのか?
凸版印刷が運営する印刷博物館は、印刷技術の歴史を通じて、印刷のもつ役割と意義を発信する目的で、2000年に開館した。「印刷はビジュアルコミュニケーションの重要な手段の一つ。だからこそ『見る』ことをシンボルにしたのでは」と、当時を知る副館長の宗村泉さんは振り返る。
粟津さんは、自著「造型思考ノート」の中で「ものを創りだすことは、見ることだと思う」とも述べている。象形文字の研究もしており、絵と文字が一体となった形は現代の美術やデザインに共通すると考えていた。
ロゴタイプの欧文は、ドイツの造形学校バウハウス出身のデザイナー、ヘルベルト・バイヤーの書体を用いた。開館20周年の今年、秋の改装オープンに合わせ、ロゴタイプは一新される。
◆印刷博物館 東京都文京区水道1の3の3(問い合わせは03・5840・2300)。現在は改装工事のため休館中。10月上旬~中旬に再開予定。