ふじのくに茶の都ミュージアム
稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。
つなげる願い 穴と穴つなぐ線から
アーツ前橋は「美術館」を名乗らない美術館だ。従来のあり方にとらわれない芸術文化施設をと、市街中心地にあった商業施設を改修し、前橋市が2013年にオープン。市民が主体の交流の場をめざす。外装は、気泡緩衝材(いわゆる「プチプチ」)のように一面に穴があいた金属板、パンチングメタルで軽やかに覆われている。
ロゴを作った西澤明洋さんは、このパンチングメタルに着想。穴と穴をつないだ線で文字をデザインし、「前」の上部とMを組み合わせた中に配した。誰にでも開かれた施設であるようにと漢字とアルファベットが混在するが、遠目に見ると「前」の字そのものにも見えてくる。案内板など館内の全ての文字表示にも、同じ手法で一つ一つ作った文字があしらわれている。
建築を学んだ西澤さんは、発注者の狙いや使う人の気持ち、用途などからコンセプトを練り上げ、デザインで視覚化する。本作のコンセプトは「点と点をつなぐ線」。建築とロゴ、人と町、人と人を結ぶ線がこのデザインの起点だ。
◆アーツ前橋 前橋市千代田町5の1の16。問い合わせは027・230・1144。午前10時~午後6時(入館は30分前まで)。水曜休み。