朝日新聞の金曜夕刊で連載中の企画<PrintShot>。紙面やウェブサイトで活躍する写真家たちの近作を紹介し、撮影の一瞬を記してもらう。第3シリーズではスリランカ在住の石野明子さんの写真を紹介する。シリーズのタイトルは『The Emission of Light /刹那の光』。その第2回は。
無秩序の秩序
時の流れを、人々の暮らしとともにその体に刻む。喧騒も静寂も吸収しながら。古都キャンディにて。
スリランカ最後の王朝があったキャンディには植民地時代の面影を残した歴史的建造物が街中至る所にあり、そしてそれは今も現役で使われている。撮影した建物は会計士、法律家たちの事務所がひしめき合っている。無秩序につけられた表札がいつしか秩序を生み出して唯一無二のものになっていく。彼にとってはいつもの帰り道。でものびる車輪の影に私の心は奪われてしまう。インドゥルワ、夕方の田舎道で。
■アーティストプロフィール
石野明子 Akiko Ishino /日本大学芸術学部写真学科卒業後、新聞社勤務を経て2005年からフリーランスに。12年間雑誌、web媒体を中心に活動、写真講師などを勤め、魅せられたスリランカに2016年に移住、現地から日々スリランカの文化、魅力を発信している。近著に「五感で楽しむ!輝きの島スリランカへ」「スパイスカレーと野菜のおかず スリランカのまかないごはん」(ともにイカロス出版)
■雑記
南国スリランカといえば色鮮やかな被写体を思い浮かべることが多いかもしれない。でも私はそこから色を取り去ってみたかった。喜びはもちろん、悲しみ、理不尽、日々のさまざまな感情を飲み込んで、「佇む」彼ら。色を取り去ったことで被写体が放つ光、そして光があるが故にその内面にある陰もより見える気がする。今日も刹那に発光する彼らに出会いたくて、カメラを持ってただ歩く。
▼インスタグラム
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▼朝日新聞デジタル「&」のスリランカ暮らしの写真コラム
https://www.asahi.com/and/creators/ishinoakiko/
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