水戸元祖 天狗納豆@水戸
茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。
文京区の住宅街の一角にある、木造2階建ての建物。表札に「高橋工房」とある。安政年間に、江戸木版画の摺師(すりし)の工房として同区に創業した。現在は6代目高橋由貴子さんが技を受け継ぐ。
2階にある工房の摺台の上に、サクラ材の版が載せられていた。ブラシで版に絵の具を載せ、和紙の角を版の両側にあるくぼみ「見当」に当て、バレンで摺っていく。和紙を上げると、見事な波の形が浮かび上がった。
木版画は「絵師」「彫師」「摺師」によって出来上がるが、それらをプロデュースするのが「版元」だ。高橋さんは30代後半で父親から継ぐ時、版元もやるよう言われた。「版元が仕事を生み出して商売が成り立つ。今後産業が衰退するのを心配していたのでは」
工房では、浮世絵の復刻のほか、芸術家の作品を木版画に仕立てるオリジナル作品を手がける。現在、正倉院の宝物の模様を木版画化する計画が進んでいる。ロシアや韓国へ木版画の実演にも赴く。「新しい試みに挑戦することで、伝統の技を守り、伝えていきたい」
(文・写真 西村和美)
◆東京都文京区水道2の4の19(TEL03・3814・2801)。午前11時~午後5時。(土)(日)(祝)休み。江戸川橋駅。