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街の十八番

カトレア@森下

下町生まれの「元祖カレーパン」

揚げたてのカレーパンを手に店内に立つ中田豊隆さん
揚げたてのカレーパンを手に店内に立つ中田豊隆さん
揚げたてのカレーパンを手に店内に立つ中田豊隆さん 発酵後、衣をつけ、180度で3分揚げる。「元祖カレーパン」(194円、辛口205円)は、1個から電話予約できる

 下町風情漂う深川地区の森下に、「元祖カレーパン」を看板商品に掲げるパン屋がある。

 創業は1877(明治10)年。当時は「名花堂」の名前で店を構えていた。1923年、関東大震災で店が全焼。再建のためヒット商品が必要だった。2代目の中田豊治さんは、洋食ブームに目を付け、人気のあったカレーライスとカツレツをパンに応用。27年、「洋食パン」の名で発売すると人気商品になった。

 「万人に親しまれるシンプルで優しい味です」と話すのは、5代目の豊隆さん(64)。たっぷり詰まった具は当時から変わらず、タマネギ、ニンジン、豚ひき肉など。新鮮な綿実油とサラダ油を使い、カラッと揚げる。1日3回の揚げたてが並ぶ時間には、客が列を作る。平日は約800個、土曜には1200個ほど売れる。他に、あんパンやシベリアなども人気だ。下町のパン屋では、しゃれたパンより定番品が喜ばれる。「新しいことを始めるのはすてきなことですが、伝統を守るのもまた同じようにすてきなことです」

(文・写真 秦れんな)


 ◆東京都江東区森下1丁目6の10(TEL03・3635・1464)。午前7時~午後7時((祝)(休)は午前8時~午後6時)。(日)と(祝)(休)の(月)休み。森下駅。

(2018年9月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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