水戸元祖 天狗納豆@水戸
茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。
日本橋の中央通りから路地に入ると「神茂」がある。店にはかまぼこなど約50種の練り物が並ぶが、中でも人気の「手取り半ぺん」は1688(元禄元)年の創業当時の製法で作り続けている。
江戸時代、日本橋には魚河岸があり、幕府は近海でとれたサメのヒレを中国に輸出していた。そこで余った魚肉を活用するため、はんぺんが生み出されたという。
同店のはんぺんは、サメの身を石の臼で約40分擂(す)る。「これがふんわりとした食感のひけつです」と18代目の井上卓さん(57)。そこに調味料と卵白、ヤマイモを加えて木型にとり、ゆであげる。
卓さんは、次男ということもあり、大学卒業後はスーパーの流通部門で働いていた。28歳の時に、父の幹雄さんが病に倒れたのをきっかけにのれんを継いだ。商品構成やコストの計算などで、前職の経験が生きているという。
「明治時代の大福帳を読むと、神茂に関わった大勢の人の名前が出てきます。その人々の思いを受け継いでいきたい」と卓さんは話す。
(文・写真 西村和美)
◆本店 東京都中央区日本橋室町1の11の8(TEL03・3241・3988)。午前10時~午後6時((土)は5時まで)。(日)(祝)休み。三越前駅。