酒井一圭さん
「中華そば紅蘭(こう・らん)」の中華そば 「ふるさとの思い出の味を食べたい。一緒に行く?」。5年ほど前にコンサートで山口県を訪れたとき、山口出身のマネジャー・山本さんがそう言って、連れて行ってくれました。
「中華そば紅蘭(こう・らん)」の中華そば 「ふるさとの思い出の味を食べたい。一緒に行く?」。5年ほど前にコンサートで山口県を訪れたとき、山口出身のマネジャー・山本さんがそう言って、連れて行ってくれました。
まず私の師である小澤征爾先生のご冥福をお祈り申し上げます。
私の海外での初仕事は、1986年から6年間、中国の「電影楽団」の常任客演指揮者に就いたことでした。小澤先生が、まだ若手だった私の推薦文を書いてくださり、中国との縁につなげてくれたのです。特別な思いが中国にはありますね。海外遠征中に恋しくなるのは日本食ではなく、中華なんです。
私の所属していた楽団は当時、映画に伴奏をつけて演奏していたのですが、楽譜は日本からコピーしたものを代用し、一部の楽器はぼろぼろ。ホールも体育館のようで、驚いたのを覚えています。
上海と北京を行ったり来たり。楽団員と同じ場所に寝泊まりし、同じものを食べていました。二つの都市で、それぞれの楽団員たちにありとあらゆる中華料理を食べに連れていかれました。カエルもいただきましたよ。
だから、日本に帰国して中華料理が懐かしくなって本場の味を探したんです。そして出会ったのがこの五目焼きそばでした。キクラゲやエビ、異なる素材を上手に調理されているから味のバランスも絶妙なんです。おいしく仕上げてお客様に喜んでもらうというのは、個性のある楽団員をまとめて音楽を奏でる指揮者と似ているのかもしれませんね。
(聞き手:佐藤直子)
◆東京都港区虎ノ門2の10の4の6階(☎03・3505・6068)。2500円。ランチ午前11時半~午後2時半(土日祝は3時半まで)、ディナー5時半~9時半(ラストオーダーは30分前まで)。
おいかわ・みつよし
指揮者。ブルガリア、ルーマニア、ポーランドから文化功績の勲章受章。障害を持つ人に向けた「モーツァルト・ヴィルトゥオーゾ祝祭管弦楽団 定期演奏会」は今年は3月28日(木)、東京・紀尾井ホールで。