「中華そば紅蘭(こう・らん)」の中華そば 「ふるさとの思い出の味を食べたい。一緒に行く?」。5年ほど前にコンサートで山口県を訪れたとき、山口出身のマネジャー・山本さんがそう言って、連れて行ってくれました。
85歳になる今も画業界の第一線を走る現役イラストレーターの田村セツコさん。イラストから飛び出てきたような可憐な出で立ちでおちゃめにウィンク。そんな彼女の口グセは、「OK.OK。大丈夫よ!」。たとえ悩んでいることがあっても大丈夫かも?って思ってしまう、そんな風に人を元気にするスペシャリストです。そんな彼女が気分転換に訪れるのがジャズバー「ボロンテール」。なんとこのお店には、「セツコの部屋」なる場所があるのだとか? 今回はお店のママにも田村セツコさんの魅力を伺ったスペシャルバージョンでお送り致します。(聞き手・佐藤直子)
田村 ボロンテールは今、赤坂にあるのだけれど、以前は原宿の私の自宅のすぐそばにあったんです。その日は雪でタクシーがなかなか拾えず、途方にくれていたらレコードを看板に見立てたすてきなお店をみつけたの。たしか、会員制のお店かしらってママに聞いたのよね。そうしたら違いますよ、どうぞお入りくださいって言われて、それからもう40年も通っています。
ママ セツコさんとはもうそんなに長くなるのね。セツコさんは荷物が多いときなんかには、うちの店に荷物を置いてね。この店を中間地点みたいに使ってくださったみたい。懐かしいわね。
田村 この店は、昼間のカフェタイムには弟さんが、夜7時以降はお姉様の京子さんのバータイム。Day&Nightでやっていらっしゃって。気分転換に午後3時ごろに伺っています。3時って夕方でもなく昼間でもなく不思議な時間よね。この時間が好きでお仕事の関係でお約束する時も、もなぜか3時って言ってしまうのよね。3時ごろカフェタイムにお邪魔して、ママの時間までいれると楽しいんだけど、最近は早寝早起きをしているので、日が暮れると帰っています。
寝るのは大体11時ぐらい、朝3時半くらいに一回目が冷めて。まだ3時半だわ、うれしいと思って正式に起きるのは6時半ごろです。目覚ましがなくても、きちんと起きるので笑っちゃうわよね。テレビをつけると平気な顔して働いているアナウンサーを見ると気持ちがぴしっとするんです。それから、コーヒー、紅茶、日本茶をいれて。好きなときに好きなモノをいつでも飲めるようにね。
そんなことをしているうちに新聞がコトって届けられる。そうそう、新聞は朝と夕方に来てくれる家庭教師だと勝手に思っています。以前何かの話題で家庭教師のお名前は?なんて聞かれたことがあって、思わず“ジェームス”って言ってみたの。今日はジェームスからゴダールの映画について教えていただきました。
さて、今回紹介していただけるおすすめのお品は?
田村 この店のパストラミビーフサンドイッチを一度頼んでみたらすごいおいしくって。パンは焦げてないけど外側がこんがりあぶってあるでしょ。「わーあったかい」ってそれがすごくうれしかったの。アコーディオンみたいに分厚いレタスが入っていてね。お野菜たっぷりで、ボリュームがあるから、大きな口でばくっと食べたら、ぐずぐずしないでぱりぱりしているでしょ。食べると元気がでるのよねー。こんなに野菜が多いから、淡泊なお味かと思いきやしっかり味が付いているんです。こだわりの秘密のソースがご自慢なのよ。スパイシーで甘酸っぱい、大人の味よね。あまり幼稚園の子は食べないわよね。
添えてあるピクルスも甘酸っぱくておいしいでしょう。ピクルスをもう一回くださいっておかわりもする時もあるわ。食べきれなかったら半分テイクアウトして晩酌の時にね。ワインでもビールでも合いますね。
お酒もお好きなんですね!
田村 夕方になってお酒を飲んでいい気分になるのが好きなんです。だから憂鬱や嫌な気分からお酒を飲んで元気になろうとは思ったことはないんですよ。テンションを上げようと思ってお酒を飲むとキリがないし、私の体には合わないみたい。やけ酒とかあるじゃない。それは一つのパターンだけど、私はちょっとそういう風には頼らないで、5時過ぎたらわぁーうれしいって、ちょっと一杯いただくんです。二口くらい飲んでね、百薬の長って本当ね! ナッツとかチーズなんかちょこっとつまむと余計においしくなっちゃう。私にとって、お酒はストレートで飲むのが当たり前なの。特にウィスキーなんかはストレートがおいしいわよね。おじさんぽいのよ、私。かわいらしく薄めたりしたらもったいない。気のままにクイッとね。
おじさんっぽいってワードが出ましたけれど、先生の中には、ハードボイルドがいらっしゃるのだとか?
イラストのかわいい女の子の中にも??
田村 そうなの。普段の私以外にハードボイルドの私も住んでいるのよ。作品の女の子の中にもしばしば登場するわ。弱さも強さも持ち合わせていて、両方自分なのよね。コミュニティーカレッジの絵日記のクラスの中でも42人が全員女性で、みんな個性が違ってね、彼女たちに言っているのは、シンデレラ姫が召し使いだったとき、継母にこき使われて雑用をやっていた時があるじゃない。お姫様だけじゃなくて雑用をやっている、そのタフさがあると強いわよ。
かわいいだけじゃなくてもう一人、ハードボイルドの自分を同居させるのが私のおすすめよ。ま、これはマル秘ですよね。 私の描く作品の中には「self made」「Stand alone」っていうメッセージを入れていることが多いです。 どちらも自分は自分でつくる、ちゃんとひとりで立てればね、恋だってしっかりできるけど。何かに甘えてたら、「だめよって~」。一方が甘えて迷子になったら、もう一人のハードボイルドが「何、甘えてるのー、いい加減にしなさい!」とか言ってくれるのよ。両方いればね、もう無敵でしょ。つっかえ棒のような存在よね。
本とか映画とか色んなモノからヒントを与えられてハードボイルドの私を育てることができるわけ。もう一人の自分が自分を育てることが出来るから両方いると心強いわよね。ちょっと前にNYのキャリアウーマンが「男のように考え、レディのようにふるまい、犬のごとく働け」という合言葉があったみたい。
先生のハードボイルド、どんなときに顔を出すんでしょうか?
田村 そうですね、疲れた時とか、迷いがある時なんかでしょうか。
ママ 人を励ましている時もセツコさんのハードボイルドは出てきているように思うわね。悩んでいるお友達に「大丈夫よ!」とかすごくあたたかく言ってくださるのよ。それが、かちっとね、ハードボイルドのモードになるときがあるのよね。それがすごく相手に残るんだと思うの。
田村 そうかなぁ。でも時々ちょっと元気がない人にそっとに大丈夫よ!ってささやくことはありますね。そしたら自分もつられて元気になっちゃうみたい。人を励ますとつられて自分も元気になっちゃうの。ふしぎよね。そんな風に人を励ますのっておもしろいわよね。
もう一人の自分を意識したのはいつからですか?
田村 大人になるにつれてでしょうね。人をみたり自分のことを考えたりしてね。やっぱり、一言であの人はどういう人ですか?こういう人ですって言われるって素敵でもあるけど、究極はなんだかよくわからない人って言われることよね。それがうれしいです。
どういう人ですか?って聞かれて優しい人です!・・・・とは言い切れないとか。何かよくわかんない方がいいと思うのよ。私のクラスで絵日記を勧めているんだけど、日記には正直にいいことも悪いことも書いてもらうようにしています。「イイこともイヤなことも両方楽しめる不思議な人になりましょう」って伝えています。イイことは喜ぶのが当たり前じゃない?だけど嫌なことも楽しめる。嫌なことでも色々体験したら免疫力がつくとか、そういう風に解釈する。ひどいことをいわれたら、抗体ができたとかね、どんどん強くなっていきますね。モノは本当に考えようですよね。幸せって思えば幸せだし。いやだと思えばいやよね。
それが、先生がハッピーに過ごす秘訣ですか?
田村 そうね。何回も言うように私のオリジナルじゃないわけ。本棚に並んでいる色んな哲学者からのメッセージや大好きな赤毛のアン、新聞のJAMESもそうで、ヒントを与えてくれるのよね。なるほど!みたいな。ちょっと応援団って感じかしら。いつも応援ありがとう。これからもよろしくお願いしまーすって。アスリートみたいにね♪
そういうものをいつもメモされているんですか?
田村 すごく気に入ったものをメモして、時々見ています。メモしないともったいないと思ってしまうのね。
書いた方が記憶にも残るし、自分の中にも入るっていう感じなんですか?
田村 私の場合は書くことで安心します。えんぴつと紙があれば、コンビニのレシートの裏にも書いている時があるわ。今日もお気に入りの映画って何だろうって考えていて、電車の中でメモしました。紙とえんぴつっていうのが大体すきなんですよ。テレビを見ていたらサッカーの監督もメモしていらっしゃいましたよね。
ハッピーをテーマにエッセーを書いていらっしゃるセツコさんは、どんな時に落ち込むんでしょうか? どうやって自分を励ましていますか?
田村 若い時はメランコリックになって落ち込むこともあったけど今はそういうことはあんまりなくて。締め切りに間に合わない、どうしよう、ピンチ!とか、そういうのは常にありますけど、即物的になってきたのかもしれません。若い時のようにぐらぐら揺れて情緒的なことで落ち込むのは本当に少なくなったわね。今は少しずつバランス取れてきたみたい。 そうねぇ、曲とか本とか色んなものから励まされていると思うわ。どんなものからでも元気をもらえると思っているの。このサンドイッチもそうですよね。つまんないと思えばつまらないですよね、この世の中は。だからハッピーにね♪なんかフランスの女性は、自分を「モノ」としてみてお手入れするとかって聞いたことがあるわ。クールよね。
たとえば、夏は暑いだけで苦手なの。同じ2月生まれのママに夏は苦手よねーって一緒に嘆こうと思ったら、太陽のエネルギーをチャージできるって言われちゃってね。「おーそう来たか!」ってこともあったわね。冬生まれは夏が苦手よねーっていって、おわっちゃしょうがないのよ。日光でエネルギーをチャージできるって聞いて、急に身の回りのモノを干しだしたりするわけ。おしゃべりすると色んなヒントがもらえるのよね。
少しだけ話がそれますが・・・恋愛の事も聞いていいんでしょうか?
田村 今度一緒にイベントを行う平泉春奈さんの本を読んだのね。この方はラブシーンを描いてらっしゃって。万葉集から取り入れた絵でセクシーな絵もたくさんあって。生々しい、だけど絵は上手でとてもさわやかなのよ。熱気はあるけどさわやか。これが人気のある秘訣だなとおもって感心したの。読んでいたら私も現役時代を思い出しましたね(笑)。ほのかなアレコレ、せつなさとかそういうフルコースはひととおりね。ふふふ。だけどちょっと離れていたかなって思って、その真っ最中を思い出して懐かしかったですね。
先生の描くイラストでもカップルをテーマにしたものはあるんでしょうか?
田村 私の作品ではカップルの絵は少ないかもしれないわね。大抵挿絵とかテーマを与えられていているので、自分からモノ語りを作っていることはあんまりなくて。男の子と女の子のイラストを描くのだとしたら、アリスと星の王子様とかね、本当にメルヘン、離ればなれ、だけどどこかでつながっているというイメージかしら。それがすごくロマンティックに思えるの。
ハードボイルドの自分以外にパートナーがいるともっとおもしろいのでは?
田村 私も漠然とはそう思いますね。電車に乗っているカップルを見ていても手をにぎったり、女性が男性の背中を見てうっとりしてるのとかいいなとかうらやましいとかそういうのはあまりなくて、どちらかというと祝福する方になっています。自分で感心しちゃって。女の子の方がわがままとか言うところをみるとほどほどにねとか。
みんな波瀾万丈なんだなって思って。でも現役じゃないと安らかなんですよね。胸騒ぎや嫉妬とかしないし。若いときはそういうのもあったと思うけれど。もう十分に味わったと思うの。私は、すべてよけないでここまで来てるの。そうね、今は花鳥風月を愛して(笑)ありがたいし、とってもすがすがしいくらいなんです。
ところで毎日亡くなった人へのお祈りを日課にしています。すると気持ちがおちつくの。 生きてる人も死んでいる人もこのぐらいの年になるとこだわらないぐらいのところまで来てしまったのかもね。恋愛は迷惑かけた記憶が多くて。みんなそうじゃない?どっちかがどっちかを、いじめてないんだけどいじめたというか、そういう風になっちゃうことってあるじゃない?この頃、思いがけなく仕事が好きになってきたのよね。昔、女性の人が男性に「仕事と私どっちが好き」って言うセリフがドラマとかであったのね。でも女性側でもそれはあるかなと思って。結婚するかしないかっていうときに、初めて仕事が好きなのかなって思ったのよね。仕事をしているとき、絵を描いている時って周りに対して非常にうわの空になるわっていうことに気がついてね。周りに対してそのどうでもいいっていうわけじゃもちろんないんだけどね、集中しちゃうんでしょうね。どっちか選ぶようにするのがは大事だなって私は思ったの。両方って言うのはちょっとムリがあると思った。それでイラストを選びました。
仕事に対しての思いをお聞かせください
田村 私よっぽどイラストが好きなのかな。知らなかったけれど。子どもの頃から絵を描いたりして、その頃は趣味とか軽く考えていたけど、実は絵がすごく好きだったんだなと今頃になって気づいたんですね。もう人生になっちゃったのよね。自分では気づかなかったの。よくわからなくって、そうなんだって。気がついてよかった。最近気づいたのだけど、今はおかげさまで、幸せで最高です。
仕事を選んだ自分について
田村 自分がまさか、そうなるとは思っていなかったの。若い時は仕事を取るとは思いもしなかったわ。世間的に「仕事が大好き」って言いにくい時代だし、特に女の人だとなんとなく仕事が好きなんて言えないじゃない。結婚とかも当たり前でしたし。周りもみんな言うしね。そんなこと言ってないで早く結婚しなさいよって。よくスルーしてきたとおもって。そのときは自覚がなかったけれど。だけど、なんかそうなんだなって納得したのよね。仕事ラブなんだなって。今ごろ気づくなんてもうびっくりです。
イラストレーター・田村セツコの仕事の姿勢は?
田村 私、仕事のオファーがあるとね、すごくうれしいの。もうすごくわかりやすいの。時間的にムリ、これは死んじゃうとか思ってもとりあえずうれしいのよ。断らないNOなし人間です。仕事がなかった時本当につらくて、さみしかったから。でもそのときにおかげさまで映画をいっぱいみれたから。映画からいっぱいプレゼントをもらいました。映画大好きです。 映画館って建物が夢の部屋なのよね。ブーって音が鳴って電気が消えた時のうれしさってないわよね。
映画の話が少し出ました。今度イベントで映画についてお話されるんですよね。
田村 イラストの整理をしていたら以前展覧会に出していた「ボヘミアンラプソディ」をモデルにした絵が出てきたの。フレディマーキュリーの写真を真似て女性版のイラストを描いたの。「どう?似ているでしょ?」私の生徒さんでも、ワンフレーズ気に入ったら100回ぐらい見に行ってらっしゃる方がいらっしゃったわ。そういう魔力も映画にはあるのよね。この映画は音楽の魅力が大きいわね。やっぱり映画はDVDで小さくみるんじゃなくて暗い中で等身大でみるのがぜったいすてき!
映画は魔法にかかったみたいよね。わくわくもするし、暗闇の中で知らない人同士なんだけど、みんな同じところでクスクス笑ったり、泣いたりしてね。“暗闇のお友だち”って呼んでいるわ。
映画からどんなことを学んだんですか。イベントでもお話されますが少しだけ教えてください!
田村 映画は何でも教えてくれるの。ファッションとかね、人生の喜びとか、哀しみとか不思議とか、これでもかこれでもかっていうくらいね。監督さんえら~い。だからすっごいありがたいのよね。当日は、映画について話せるのを楽しみにしているわ。お客様にも聞いてみたいわね。
ママ 私もぜひイベントに伺いたいわ。そろそろセツコさんの好きな曲でもかけようかしら?
セツコさんはどんな曲をリクエストされていたんですか?
田村 私はそんなに詳しくないから他の方のリクエストを聞く専門です(笑)。
ママ ファッツ・ワーラーはお気に入りですよね。「ひとり者のラブ・レター」という曲はよくリクエストしてらっしゃる。彼女から便りは返ってこないけど、君からの愛の返事を自分宛てに手紙でも書こうという、ちょっと切ないけどチャーミングな唄です歌詞も全部覚えていて時々歌ってらっしゃっているんです。ファッツのピアノと唄は愛嬌たっぷりです。
持っているのはファッツ・ワーラーのジャズレコード
田村 このお店、レコードの数がすごいでしょう。お客様が、ママに何をリクエストしてもどこに何があるのか把握しているのね。大体3500枚くらいあるんでしたっけ?
ママ そうですね。メインはジャズで、ビートルズとか60年代のレコード、セツコさんが映画好きと聞いていらっしゃるので映画に関するものも流すこともあります。
田村 プレイヤーの誰々とか言うとね、背表紙は何も見えないのに、すーって出してくるの。和田誠さんの手書きの楽譜「SMILE」もかざってあるわ。そういった貴重な資料もあります。この店には私の作品も飾ってもらっていて、色んな人の痕跡みたいなものがたくさんあります。カウンター左横にある美女の顔のオブジェは、宇野亞喜良さんの作品。セクシーでかっこいいでしょ。私物だけどこの店に置かせていただいています。
ママとは長い付き合いなんですね。
田村 5人組のコーラスグループ「ボロンテールシスターズ」で活動もしたことがあったんですよ。歌うことに興味がなかった、私がここで新しいドアが開けてね。お店の40年記念にコットンクラブでコンサートをしたこともあったわね。みんなでおそそいのロングの赤いドレスを着たんだけれど、大好評でした。おかげさまでいっぱい曲を教わって、すごい得しちゃったの。毎年クリスマスはお店でカウンターの中に入って。クリスマスソングとか好きな曲とか候補にあげて歌ってね。けっこう評判だったのよ。
こちらの店にはなんと、セツコさんの指定席があるのだとか?
田村 カウンターの右側が私の指定席です。どなたもいらっしゃらなければ、ドアをはいってすました顔をして当然のように座ります。サンドイッチとコーヒーってお伝えしてね。お店の花瓶を少し動かして他の人から見えないように顔を隠して個室のように使っているんですよ。ちょうど後ろが窓になって緑が見えるので別荘みたい。カウンターの一番はじっこの席で、日記帳にメモをしたり、急ぎのエッセーを書いたり。気が散らなくて集中するお仕事にぴったりなんですよ。この時間にいらっしゃるマスターも無口なのでそれもちょうどいいのよ(笑)。
昼間は、夜とまた違って日差しが入っていて、すごくいい感じです。お店をでたらすぐにポストがあるのと文房具屋があるので、そこで封筒とか買ってね。自分の仕事部屋みたいな感じです。ママはこの席のことを「セツコの部屋」って呼んでいるのよ。ジャズを聴きながら、ぜいたくでしょう。音楽も雰囲気も独り占めみたいな感じでね。気分転換にすごくいいですよ。私、屋根裏部屋の一人ぐらしってあこがれなのよね、よそのお店なんだけどそういう気分になれる。隠れ家みたい。自由にふらっときて誰にも気兼ねなく過ごせるのよ。
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