「中華そば紅蘭(こう・らん)」の中華そば 「ふるさとの思い出の味を食べたい。一緒に行く?」。5年ほど前にコンサートで山口県を訪れたとき、山口出身のマネジャー・山本さんがそう言って、連れて行ってくれました。
鮎(あゆ)とビールは相性がよくて、「であいもの」って言いますよね。昔から日本人になじみ深い鮎と、江戸後期に西洋から入ってきたビールが「意外と最高の相性」だったっていう。私なりのであいものを探して、鮎魚醤(ぎょ・しょう)といろんな食材のマッチングを楽しんでいます。
冷や奴(やっこ)にかけてみたら、いつものお豆腐が手の込んだお料理みたいになり、もう冷や奴Zに格上げです。食いしん坊の友人は「卵かけご飯に最高だ」って。なるほどと試したら、冷や奴Zの方が上でした。卵焼きとの相性も悪くはない。でも、鮎とビールほどの意外性はないから、「であいもの認定」には至らない。認定はまれです。奇をてらわずに、足元にある驚きを発見したい。そういう意味では、であいもの探しとは、良いコピーを考える作業に近いかもしれません。
であいもの認定したのは、まだポテトサラダだけ。手軽な一品だけど、味を左右する深みを出すのは難しいのがポテサラ。マヨネーズ代わりに鮎魚醤にしたら、ミステリアスなおいしさで簡単に味の奥行きが出ました。
鮎魚醤を主役にしたい。この値段って「思いがけない出会い」とか「発見する楽しみ」も込みです。……マッチングアプリの広告みたいなことを言ってしまいました。
(聞き手・島貫柚子)
◆大分県日田市中本町5の4(電話0973・23・4145)。200ml1674円。オンラインショップでも購入可。
まるはらオンラインショップ
https://www.maruhara.jp/
おがた・まりこ コピーライター、クリエーティブディレクター。1978年東京都生まれ。LUMINEをはじめ多くの企業広告を手がける。朝日広告賞、TCC賞など多数受賞。「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」「隣人の愛を知れ」(幻冬舎)など小説も執筆する。