読んでたのしい、当たってうれしい。

沖田修一さん
山田家 白露ふうき豆

沖田修一さん

 ふうき豆は母の実家がある山形の名物で、訪問したときの「お決まりの自分へのお土産」です。

 母の実家はお寺をやっていて、お寺の離れに泊まるんです。お墓がたくさんあり、子どもの頃は怖くてしょうがなかったのですが、家から境内、本堂までとても広く冒険のようでした。土産に買って帰るふうき豆は、田舎の記憶とセットで思い出の味になっています。

 他にないようなエンドウ豆の素朴な甘さがよくて、止まらなくなってしまいます。朝、食後、食事の添え物として、いつでも食べられますね。箱いっぱいに詰まっていて、「いいもん買った」って気持ちになります。結構な量が入っているので、器に出してスプーンですくって食べています。

 映画の撮影にふうき豆は持っていけないので、頭が回るように、代わりにラムネなどで糖分を取っています。地方ロケが多く、その土地の食べ物をよく楽しんでいますね。

 先日、「怪獣おじちゃん」と呼んでいた住職のおじが亡くなって帰省したとき、「特別な食べ物を」とこのコラムの依頼を受けました。もっとふうき豆を知ってほしいと、自分の一品に選びました。

 山形との縁を大切にしていくためにも、ふうき豆はずっと食べ続けたいと思っています。

(聞き手・深山亜耶)

 ◆山形市本町1の7の30(問い合わせは023・622・6998)。
 午前9時~午後6時。(火)休み。
 260グラム入り600円~1440グラム入り3千円。FAX(023・622・6668)・はがきでも注文可。

 山田家 公式ホームページ
https://www.fukimame.com/


 おきた・しゅういち 映画監督、脚本家。1977年生まれ、埼玉県出身。
 代表作に「南極料理人」「横道世之介」「さかなのこ」など。
 WOWOWオリジナルドラマ「0.5の男」が配信中。

(2023年7月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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